池田亮大さん

京都府→那智勝浦町

京都府生まれ。大学卒業後、大阪で就職。スーパーマーケットに勤務。17年間勤め早期退職。2016年3月、那智勝浦町色川地区の口色川に移住。奥さんの晃代(あきよ)さん、優海斗(ゆうと)君(中2)優愛(ゆめ)さん(小5)優獅(ゆうし)君(保育園年中)の家族5人、そして2匹の愛犬と暮らしている。

なぜ那智勝浦町に?

昨年(2015年)11月にテレビを見ていたら、家と養鶏業を継いでくれる人を探していたんです。自分も大学時代から「田舎で農業をやってみたい」と思っていたので連絡を取りました。それでここを何回か見に来てここでやってみたいなあと思い決心しました。実際、口色川と他の地域と正直迷いましたが、京都の寒いところより暖かい和歌山が良いなあと思ったのが決め手です。
前の持ち主から畑(2反)と養鶏をそのまま引き継ぎましたが、特に養鶏に魅力を感じました。家族みんなが動物好きなので、この環境で動物を育てたいと思いましたね。

周囲の反応は?

やっぱり反対のほうが多かったですね。反対というか、安定したサラリーマンを捨てて大丈夫なのか、やっていけるのか、と心配されました。唯一の賛成者は嫁さんのお父さんでした。

家族の反応は?

移住を決めたものの自分のことより子供たちのことが気がかりでした。お兄ちゃん(中学2年)が思春期で、最初はイヤと言っていたので少し心配していました。でも、移住する前に子供たちを連れてきて「ここに住もうと思うのだけれど、どう?」と尋ねたらOKでした。子供なりに考えたみたいです。

都会に比べて

ここに馴染めば「コンビニが無いから困る」などは思わなくなりました。病気になったらどうしようかという心配はありますが、この自然の中で遊んでいたら子供たちも逞しくなった。下の子なんかは馴染んで、馴染んで(笑)。買い物は、卵の納品のついでに新宮や那智勝浦の町中で買ってきます。ネットでも買えるので不自由はしていませんね。《亮大さん》 子供たちに「明日、連絡帳がいる!」と急に言われたら困りますけれど(笑)。《晃代さん》

子供たちに伝えたいこと

娘は、最初クモを見てキャーっと言ってたけれど、もう慣れたと言ってますし、町の学校に比べて人数は少ないけれど楽しい、とも言っています。大人の自分たちも勉強しながらですが、子供たちに知ってほしいことがあります。鶏は卵を産まなくなったら絞めるのが現実です。
「こうしてお肉にしていただく。最後まで命を全うさせてあげる。」と説明しています。動物が大好きな子供たちには最初はショックだったと思いますが、人間はほかの命をいただいて生きている。このことを知ってほしかったですね。目の当たりにして教えられる。分かってくれたと思います。野菜や果物も同じです。これは都会では経験できなかった事です。

継業について

前のオーナーさんと10日間ほど同居して作業手順など教えてもらいました。とにかく生き物相手だから休めなくて大変でした。その他は、契約などの書類作成、農地なので「農業委員会」を通すのですが、それに時間がかかりましたね。養鶏業も名義変更して取引先も引き継ぎました。
最初、鶏(ボリスブラウン種)は150羽でしたが、現在は300羽です。嫁さんのお父さんは昔大工をしていたんですが、鶏舎を建てるのを手伝ってくれました。親戚一同がこの家に泊まり込みながら2週間ほどで完成させました。有り難かったです。

仕事の課題は?

生産力をつけることですね。取引先を安定させたいし、今後はネット販売も考えています。とにかく基本から、「土づくり」から、毎日が勉強です。以前の勤務先のスーパーマーケットに和歌山コーナーがあって「こんな野菜を作りたいなあ」と思い続けていました。『安心・安全』にこだわらなければここに来た意味はありませんから。消費者の目を持った生産者として前職の経験を活かせられると思います。ここに来て初めて分かったことも多いですね。特に獣害、シカ、イノシシ、サル、ウサギなど。先日も汗水垂らして作ったかぼちゃが種だけになっていました(笑)。

将来の夢について

『スローライフはビジーライフ』と言われます。することは山ほどあります。色川は雨が多く、近所の人に「雨の日は休め」と言われますが、まだまだ初心者、休めません。将来は『農場』にしたいと考えています。皆さんに来てもらって体験も出来る場所にしたい。動物も作物も増やしたい。循環農業もしたい。卵を使った商品を開発したい。夢は色々あります。

移住を考えている方に

ニュースなどでは良い面が出がちですが、厳しい面を聞いたほうがいいですね。私も移住してから15軒のお宅を訪問させていただいて、地域のこと仕事の事など色々なことを教えてもらいました。自分の反省点としては、もっと農業の勉強をしてきたら良かったと思っています。 もちろん家族の意見の一致も大切ですね。家族の協力なしでは何も出来ません。
今は、『子供たちに田舎(ふるさと)を創れた!』という思いがあります。 友達の反応も「大丈夫か?」から「がんばりや!」に変わりました。

『おいなぁよ Vol.1 2016.11』発行元:わかやま定住サポートセンター
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