
会社情報
| 事業者名(会社名) | 合同会社caeru |
|---|---|
| 住所 | 【kamito works 細川紙十工房】 〒648-0262 和歌山県伊都郡高野町細川746 |
| 業種 | 伝統工芸・その他製造業 |
| 事業内容 | 和紙や紙製品の製造・販売、ワークショップなどの体験イベントの企画・運営 |
高野山の麓で、天然の樹木と水からなる紙作り
弘法大師空海によって開かれた真言密教の聖地、高野山。その麓の“高野紙十郷”と呼ばれる一帯で漉かれた和紙は、空海がこの地での紙作りを推奨したことに始まるとされ、経典や写経用の紙として使われてきました。
kamito worksは、“高野紙十郷”の一つ西細川地区で、自生楮(コウゾ)を使った昔ながらの製法を大切にしながら和紙作りに取り組む工房です。ワークショップでは、再生可能な自然と共にある循環型の紙作りに触れる機会を提供しています。
工房を運営するのは、雑貨のEC販売やレンタルスペース事業を行う合同会社caeru代表の津田睦子さんです。新たな事業として2026年「kamito works細川紙十工房」を開業しました。「紙十」の「十」には、プラス(+)の意味と、“高野紙十郷”の意味が込められています。
「石油由来の材料は使わず、身近な植物を使って暮らしに役立つものや潤すものを作ることを大切にしていきたい」と話す津田さん。出来上がった和紙を照明器具やアクセサリーなどの暮らしの道具に展開したり、アート作品として発表したりと、和紙の可能性を追求しています。
紙漉きだけでなく原料となるコウゾから紙を作っていく“木からのモノ作り”をテーマにしている点が特徴のkamito works。
「紙作りを通じて、高野山麓の中山間地で伝統的に受け継がれてきた暮らしのあり方を体験し、地域のありのままの姿を知っていただきたいですね」
体験で関わるのは、紙になる前の工程からです。コウゾを採りに行き、原料をつくるところから、紙作りをたどります。

自然の力を引き出す循環型紙作りに触れる
原料からの和紙作りは、1年がかりの作業です。体験できることは、参加する時期によって異なります。
自生しているコウゾを取りに行くのは、12月下旬から3月ごろを中心とした冬の時期です。採取したコウゾは、長さを揃えて束ね、大釜で蒸します。その後、黒皮剥ぎを行い、残った白皮の部分を木灰(もくばい)やソーダ灰で煮て、紙料に仕上げていきます。
春先は、自家栽培しているトロロアオイの植え付けです。トロロアオイの根から抽出する粘液(ネリ)は、紙を漉く際に繊維を均一に分散させる重要な役割を果たしています。
「夏に咲くトロロアオイの花は、花オクラと言われて食べられるんですよ。根を取るのは、11月ごろがメインです。自然に触れることや農業に関心がある方は、畑起こしやトロロアオイの植え付けは面白いかもしれません。クラフトワークに興味がある方は、紙漉きやその後の製品作りのタイミングで参加されると良いと思います」
kamito worksでの紙作りは、自然由来だからこそ難しさもあります。「一度で良いものができるとは限らないことを体験していただきたい」と津田さん。自生するコウゾを用いているので、製品のクオリティを均一に保つことは簡単ではないと言います。
「製品の質を効率よく高めることも重要ですが、人知を超えたところにある野生味のある紙という点も私が大事にしたい紙の本質です。懐が深い、包容力のある紙を作っていきたいですね」
いま津田さんが構想しているのが、紙作りと宿を掛け合わせたサービスです。数日から滞在しながら、時間のかかる工程にじっくり関わってもらう。1年がかりの紙作りだからこそ考えている形です。

伝統技術を大切にしながら、今に活きる紙を生み出す
和歌山県橋本市出身の津田さんは、大阪の大学に進学後、グラフィックデザイナーを経て、和雑貨のショップオーナーとして多忙な日々を送っていました。和紙作りを始めたのは、九度山町の資料館「紙遊苑」での紙漉き体験がきっかけです。
母親の介護のため大阪と和歌山を行き来する日々の中、西細川で高野紙の復興に携わる地域おこし協力隊の募集があることを知り応募。2021年にUターンしました。
着任後は、デザイナーとしての経験を活かして広報誌を制作し、地域との関わりを深めていきます。細川八坂神社の七夕祭りでは、和紙を使った円筒形の行燈に願い事を書いて、境内に点灯するイベント「紙の縁日」を企画しました。
「就任直後の一年目に関わらせていただきました。本当に感動的な出来事で、地域の方の協力がとても大きかったです。自分たちのお祭りという意識で取り組んでくださり、地域おこし協力隊冥利に尽きますね」
さらに、地域での紙漉き体験会や高野山の大師教会での発表会など活動の幅を広げ、2025年の大阪・関西万博にも出展しました。
「伝統工芸としての“高野紙”を大切にしたいという思いとともに、紙という素材が、皆さんの暮らしの中で、本当に価値ある生きたものになってほしいと考えています」
一方で、宿の運営まで一人で担うのは難しいとも津田さんは話します。近隣で宿を営む事業者との連携も視野に入れながら、一緒に形にしてくれる人との出会いを待っている段階です。
ものづくりや自然に惹かれる方はもちろん、宿を営むことに関心がある方にも開かれた体験です。日本各地の和紙の産地に出向いて研究を重ねる津田さんのもとで、自然からモノを生み出す時間を過ごしてみませんか。
体験スケジュール ※2泊3日の場合
1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「kamito works」の仕事の説明
3.工房見学
・紙作りの流れと高野紙について学ぶ
※実際の仕事状況によって変更があります。
2日目(9:00~17:00)
1.仕事のお手伝い
・コウゾの採取、蒸し、黒皮剥ぎ(12月下旬から3月ごろ)
・トロロアオイの栽培
(春:畑起こし、植え付け、夏:花の収穫、11月:根の収穫)
・紙作り(叩解、紙漉きなど)
・製品作り(うちわ、コースターなど)
※実際の仕事状況や、参加者の要望・適性に合わせて行います。
3日目(9:00~15:00)
1.地域交流体験
・地域住民や工房来場者との交流
・周辺環境の見学
2.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。
集合場所・アクセス情報
集合場所:和歌山県伊都郡高野町細川746(kamito works 細川紙十工房)
・南海高野線「紀伊細川駅」から徒歩12分