ちっちらこ

集落まるごとでこどもを見守る、天空の里の一時預かり
求人なし

会社情報

事業者名(会社名) くらしのたすけあい ちっちらこ
住所 和歌山県伊都郡高野町東富貴202
業種 医療・福祉
未就学児の一時預かり、学童的な取り組み(ジュニアちっちらこ)、月1回のおさんぽ会、地域の伝承料理づくりなどの地域交流、地域奉仕活動

標高600m、歩いて行ける距離に暮らしが集まる集落

奈良県との県境に近い高野町の富貴(ふき)地区は、標高およそ600mの山あいにある、人口300人弱の集落です。かつて高野山へ向かう道の宿場町としてにぎわった名残で、郵便局や診療所など暮らしに必要なものが、今も歩いて行ける範囲にまとまっています。

その富貴で未就学児の一時預かりを担っているのが、「くらしのたすけあい ちっちらこ」。名前の「ちっちらこ」は、この辺りで「松ぼっくり」を指す言葉から取りました。

地区の保育園は十数年前から休園したままで、小さなこどもを預けるには山道を50分かけて高野山まで通わせるしかありませんでした。せっかく富貴を気に入って暮らしてくれる家族がいるのに、それでいいのか。そんな思いから住民と行政が話し合いを重ね、ちっちらこが生まれました。

手がかりにしたのは、昔から富貴にあった「まちぐるみでこどもを見守る」文化、里育(さといく)です。今は30人ほどがスタッフとして登録し、そのうち10人ほどが日々の保育に入っています。

今回話を聞かせてくれたのは、スタッフの石村さんと大谷さん。二人とも、この環境で子育てをしたいと、こどもを連れて富貴に移り住んできました。ちっちらこが生まれたのも、こうした家族がいたから。そのこどもたちの存在があって、休校していた小学校が再び開き、のちに中学校も開校したといいます。

一時預かりの場所は小・中学校の一室なので、こどもたちは休み時間になると小学生や中学生に遊んでもらったり、授業に呼んでもらったりすることもあるそうです。富貴の小学生は6人、中学生は3人。みんなが同じ建物で過ごしているおかげで、小学校に上がるときの不安もなかったと、石村さんはわが子の入学を振り返ります。

「小一プロブレムが全くなくて。先生ともお互いに知ってるから、むしろ(小学校に上がるのを)ずっと楽しみにしていました」

自然のなかでこどもを育てたい人や、地域の人と一緒に子育てをしてみたい人にとって、富貴で過ごす数日は、その「一緒に」がどんなものかを確かめる時間になるでしょう。

今回体験できる内容

体験の中心は、10時から14時までの一時保育です。スタッフは毎回2人1組で入り、今は4歳の男の子をみています。ペアの組み合わせが毎回違うため、その日の顔ぶれによって遊びも変わるのだとか。散歩の途中で地域の人に声をかけられ、庭先の果物を取らせてもらったこともありました。

「スタッフやりたいっていう人は、個性的な人が多いんですよ。大人同士の関係が楽しいです」

保育が終わった午後は、そうした大人たちの暮らしに加わる時間になります。畑仕事や動物の世話を手伝ったり、松の葉のジュースや松ぼっくりのジャム、草木染めといったスタッフの手仕事を一緒に楽しんだり。興味のあることを伝えれば、協力してくれる住民のもとへつないでもらえます。

時期が合えば、ちっちらこが続けている地域交流の行事にも加われます。月に1回のおさんぽ会のほか、ちまきやこんにゃく、味噌づくりを地域の人に教わる会や、年に1回のごみ拾いなどの奉仕活動もあります。

活動の場は、ちっちらこの中だけにとどまりません。小学校のすぐ隣にある「フキシネマパラダイス」は、学校が移転したあと使われていなかった旧富貴小学校の校舎を、2021年に住民や富貴を愛する人たちが自分たちの手で改装した場所です。

映画の上映のほか、演奏会、盆踊り、流しそうめん、ホタルのデイキャンプなども開かれていて、ちっちらこは上映中の託児を引き受けてきました。

なお、一時保育の日は決まっておらず、今は週2〜3回ほど。体験の日程は、保育のある日に合わせて調整します。

ちっちらこには求人がないため、この体験は就職先を探すためのものではありません。移住して子育てをしたい人も、スタッフとして関わってみたい人も、まずは富貴の一日を体で知るところから始めてみてください。

体験のあとの関わり方もいろいろで、堺に住むアーティストが富貴にアトリエを借り、週に1回ほど通いながらちっちらこを手伝っている例もあります。

迷ったらやってみる。不便は、生きる力に変わる

ちっちらこの強みを尋ねると、返ってきたのは「こどもの成長を地域全体で分かち合えること」という答えでした。保育に入った人が見てきた様子を別の人に話し、会ったことのない住民までその子の今を気にかけてくれる。誕生日会ともなれば、おじいちゃんやおばあちゃんが大勢集まるそうです。

そうした関わりが成り立つのは、富貴の家々がぎゅっと集まっているからだといいます。

「田舎に行っても、結局家が遠くて、こどもが歩いて遊びに行けない。富貴は歩いていける距離にぎゅっとまとまってるので、こどもがこどもの足で遊びに行ける。それはすごい大きいと思います」

一方で、その輪を支える人手が足りていません。スタッフはそれぞれ多彩で、ほかの活動にも忙しい人ばかり。高齢になったスタッフのなかには、急に走り出す4歳児についていけないからと引退する方も増えてきました。冬に雪が降れば、地区外から参加するスタッフに通ってもらうのも難しくなります。

だからこそ、富貴に住みながら関わってくれる人を待っています。小さなこどもがいる家族ならなおうれしい、と二人は話していました。求めているのは「面白くて優しい人」「やりたがりな人」だそうです。

「森のようちえんのような場を、自分でつくってみたい」そんな思いを持つ人が来てくれたら、何よりうれしいといいます。土台になる豊かな自然は、富貴にそろっています。そこに集落ぐるみでこどもを見守る文化が加われば、森のようちえんを超えた「里山保育」ができるはず。始めるときには、ちっちらこもできる限り協力するとのことでした。

移住を考えている人はもちろん歓迎です。いきなり暮らし始めなくても、まずは通いで何度も足を運びたくなる場所になれたら、その先の関わりにもつながっていく。ちっちらこは、そう考えています。

暮らしの面で最初に戸惑うのは、山道の険しさでしょう。初めて来る人はたいてい驚くものの、3回来ればだいたい慣れるとのこと。山を20分ほど下りれば駅も大きなスーパーもあり、配達や移動スーパーも利用できます。それでも足りないものが出てきたときの過ごし方を、大谷さんはこう話します。「料理の材料がなかったら、貸してって言えるようになる。すぐ作れるものなら作ってみるか、諦めて別のもの使うか。生きていく力が育ちます」

「迷っていたらやった方がいい。やってダメなら、また再チャレンジすればいい。不便なところを挙げればきりがないけれど、それが気にならないくらいの良さがある」とも話していました。
まずは富貴に来て、ちっちらこの一日を体感してみてください。

体験スケジュール

※2泊3日の場合(一時保育のある日に合わせて調整します)

1日目(13:00~17:00)
1,ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2,ちっちらこの仕事の説明
3,しごと体験
・一時保育に合流(〜14:00)
・富貴の集落散策(フキシネマパラダイス、図書館、シェアスペースなど)
※実際の仕事状況によって変更があります。

2日目(9:00~17:00)
1,しごと体験
・一時保育(10:00〜14:00)。散歩、遊び、昼食
・午後は畑仕事や動物の世話など、希望に合わせて地域の方の仕事を手伝う
・スタッフや地域の方との交流
※実際の仕事状況によって変更があります。

3日目(9:00~15:00)
1,しごと体験
・一時保育、または暮らしの手仕事(松の葉のジュース、草木染めなど)
2,最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※時期が合えば、おさんぽ会や地域交流の行事に参加できます。
※体験内容は季節によって異なります。

集合場所・アクセス情報

集合場所:和歌山県伊都郡高野町東富貴202(高野町立富貴小・中学校)
・京奈和自動車道「五條西IC」「橋本東IC」より車で約20〜25分
・南海高野線・JR和歌山線「橋本駅」からデマンドタクシー「夢たまご・ハイランドタクシー」あり(本数は少なめ)
・タイミングが合えば送迎可(要相談)

補足事項

最少催行人数:1名
宿泊場所:富貴地区内(要相談。空き家や別荘などを案内します)
※一時保育の日は固定されていないため、日程はご相談のうえ決定します。

体験経費

参加費:無料
食費/交通費/宿泊費:自費負担