アダム・バラン さん

「和歌山を全国にシェアしたい!」 アダム・バラン Fromアメリカ To 有田川町

ビールで地域を盛り上げる

有田川町のクラフトビールの醸造所「ノムクラフト」のヘッドブルワー(ビール醸造者)のアダム・バランさん。ビールが好きで、日本で出会ったアメリカ人の友人とクラフトビールの仕事がしたい!和歌山県のみかんの産地として有名な有田川町で、その夢を叶え、今はビールで地域を盛り上げようと、気の知れた仲間たちとビールづくりに励んでいます。インタビュー時は、解説付きでブルワリーの見学もさせてくださいました。ビールを愛し、有田川町を愛するアダムさんに、なぜ有田川町だったのか、伺いました。

ノムクラフト近くの有田川

「便利な田舎」有田川町とは
良いタイミングで出会った

和歌山県に移住する前はどこで何をしていましたか?

アダムさん:兵庫や大阪で英会話講師をしていました。大阪の英会話スクールで同僚だったのが、ノムクラフトを一緒に立ち上げたベンです。

では、アメリカから日本に来ようと思ったきっかけはなんですか?

アダムさん:大学を卒業して就職が決まっていなくて。とりあえず1年、日本に行ってみたいな~と思ったからです(笑)
大学で、1年外国語を学ばなくてはいけないので、皆スペイン語なんかを学ぶのですが、僕はスペイン語がダメ(笑)なので、日本語を学んでいました。それがきっかけですね。

そういうきかっけから、今有田川町でビール醸造所を経営しているなんてすごいですね。

アダムさん:大阪の英会話スクールでベンと友達になりました。二人ともビールが好きで、ビールの仕事をやりたくなって、ビアバーとかブルワリー(ビール醸造所)を考えました。それから、講師をやめて、アメリカに帰ってビールの歴史から、ソムリエの勉強をしていましたが、日本での有田川町のまちづくり団体(AGW)※との出会いが、有田川町に来るきっかけとなりました。

※AGW(Keep Aridagawa Weird)…住民が主体となったまちづくりの成功事例として注目を集めるアメリカ・ポートランドに倣ってまちづくりを進める有田川町のまちづくり団体。

なぜ和歌山県の有田川町だったんでしょうか?

アダムさん:大阪の百貨店でポートランドフェアが開催されていたんです。日本でポートランド(アメリカオレゴン州の都市で友人ベンさんの出身地)のフェアなんか珍しいから、とても嬉しくてフェアに行きました。そこに、なんと日本人のブースがあったんです。それが、有田川町のまちづくり団体(AGW)との出会いだったんです。なんでこんな和歌山県の小さな町のブースが?と思って(笑)その時は名刺交換だけして、それからメールでやりとりを始めていました。その頃はまだブルワリーなんか考えてもみませんでした。

それで、どうしてブルワリーをやろうとなったんですか?

アダムさん:ベンと二人でアメリカでビールの勉強をしていたことは先ほどのとおりですが、メールのやり取りを続ける中で、有田川町で使わなくなってしまった保育所を活用し、ポートランドをお手本にしたプロジェクトが計画されていることを知りました。
それを知ったベンがこれはチャンスだと、「クラフトビールがどれだけ”まちづくり”にプラスになるのか」とプレゼンし、AGWの方々に有田川町へ招待してもらいました。そこで、初めてタクミ(現ノムクラフトメンバー)とも出会い、実際に保育所を見学させてもらい、ブルワリープロジェクトがスタートしました。タイミングがとても良かったんです。

  • ノムクラフトが入る元保育園をリノベーションした建物
    「THE LIVING ROOM」いくつかのテナントが入る。
  • 「NOMCRAFT」

有田川町で良かったことは何ですか?

アダムさん:有田川町の水質がすごく良いです。
日本はほぼどこでも綺麗です。地下水が軟水なんです。軟水のほうが使いやすい。軟水は硬水にできるけど、硬水は軟水にできない。どんな水にもなる、ということはどんなビールにもなるので、使いやすいです。

そのようにしてやって来られた和歌山県の魅力はなんでしょうか?

アダムさん:和歌山県…有田川町の魅力でもいいですか?有田川町は、住みやすいですね。一言で言うと「便利な田舎」です。自然はいっぱいあるんだけど、生活サービスも全部ある…コンビニやスーパーもあるし、駅、高速もあるし、でもちゃんと田舎(笑)そこが魅力です。大手の家電量販店が2店舗もあるしね!(笑)

日本人はみんな仕事を頑張りすぎ!

日本/和歌山県にきて驚いたことを教えてください。

アダムさん:もう日本に慣れちゃって(笑)日本に来る前にも準備をしていたので…住みやすい、都会は車いらない…今は必要だけど(笑)静かだし、安全だし。列に割り込まないし、電車待ちなどもきちんと並ぶ、ごみも落ちていない!
でも…皆仕事を頑張りすぎですね。良い意味で頑張っているけど、ブラック。夜遅くにでも職場の電気がついてるじゃないですか?

では、日本っておもしろい!と思うことはありますか?

アダムさん:気遣い、おもてなし、だけじゃなくて、あたたかくて、優しくて、安全。周りのことをよく考えているなと思いますね。Good teamと思います!日本人はチーム感がありますよ。
アメリカとかは自己主張が強すぎて、圧倒されることがあるんです。そういうことがないので、気持ち的に楽だな~と思います。
大阪と和歌山はすごく心地いいですね。きっちりしすぎていないというか、堅すぎない。ちょうどいいです!仕事はまじめすぎだけど(笑)

  • ノムクラフトのビールと
    アダムさん
  • ノムクラフトのビール

「仕事(ビール醸造)=趣味なんです!」

今のお仕事の楽しさを教えてください。

アダムさん:この仕事はほぼ趣味です(笑)アメリカでは趣味で自家醸造所を作れるんですよ。でも、日本では禁止されていますから。
仕事だけど、ほぼ趣味!たまには仕事やりたくないってこともあるけどね!(笑)
僕たちの職場は自由でゆるいですよ!(笑)出勤時間・退勤時間なんかは特に決めていないし、休む時は明日休むよ~って休みますね。
皆、同じ目的で同じ目標で仕事をして…仕事さえしたら、その間はなんでもOK!

お休みの日はどのように過ごしていますか?

アダムさん:犬中心の生活をしています(笑)ビーチに行ったり、ハイキングしたりですね。大阪とかまで行かないですね。和歌山にいます。

ノムクラフトが和歌山の会社として
有名になって、
和歌山県産品を
全国にシェアしていきたいです。

地域の方との関わりについてお聞きしたいのですが。

アダムさん:イベントを開催してますね、ビアガーデンとかカレーのイベントを開催したり。有田川町以外から来てくれる方も多いです。
あとは、ホップ以外のノムクラフトビールの原料は、地域の方に提供してもらっています。ミカン、パッションフルーツ、レモン、ライム、キウイ、マンゴー、葡萄山椒もそうです。有田川町の人と会社を繋げたいと思っています。有田川町はおもしろい人がいっぱいるんで、シェアしたいです!

そんなアダムさんが、大切にしているもの・ことはなんでしょうか?

アダムさん:新しいことをやる!
ビール業界はいつも変動しているので、新しいチャレンジ、やったことないことをやってみたい。たまに大変だけど、飽きることがないですよ。常にフレッシュ、刺激的。

では、最後にお聞きします。アダムさんの今後の夢はなんですか?

アダムさん:ノムクラフトを大きな会社にすることです。和歌山市や大阪など店舗を増やして、ステップアップしていきたいです。
ノムクラフト自体は全国的に知られるようになったんですよ。だけど、どこの会社なのかは知られていない。和歌山がどこにあるかも知らないとか言われる。和歌山はなんでもおいしいのに!ミカンとか野菜とか魚とか!ノムクラフトが和歌山の会社として有名になって、和歌山産品を全国にシェアしていきたいです。


ビールと有田川町への愛の強いアダムさん、インタビューにご協力いただきありがとうございました。最後に、アダムさんにお気に入りの写真をお願いしたところ、次の一枚を選んでいただきました。

アダムさんのお気に入りの一枚

ビールの醸造の様子を見るアダムさん
  • 安藤 マリアンヌ From フランス To 田辺市

  • リー 先捷シェンジェ From シンガポール To 田辺市龍神村

  • アンディー・ストラックマーセル From アメリカ To 日高川町

  • アダム・バラン From アメリカ To 有田川町

  • ダル・ジョバンニ From イタリア To 田辺市

  • ドミニク・シュミッツ From ドイツ To 上富田町

  • ローランド From ドイツ To 海南市