ドミニク・シュミッツ さん

「日本人のコミュニケーションの仕方は
日本庭園の奥深さにつながっている」
ドミニク・シュミッツ From ドイツ To 上富田町

日本庭園の魅力を伝える
ドイツからやって来た庭師

ドイツにいる時から園芸好きな父の影響もあって造園業を始めたドミニクさん。造園の修行のため京都にいたこともありますが、造園業で独立開業したのは、妻の実家である和歌山県上富田町。ここで、「ドミニク造園」を開業しました。高野山の寺院からご近所さんのお庭まで幅広く対応しており、京都府や大阪府からも仕事の依頼が舞い込みます。多くのメディアにも取り上げられるドミニクさんが手がけた日本庭園は、ドミニクさんの感性が光ります。

  • ドミニクさんが手掛けた
    個人宅のお庭
  • 自宅の庭園を背景に
    話をするドミニクさん

日本の職人の感動を求める
仕事ぶりに感動しました

和歌山に移住する前はどこで何をしていましたか?

ドミニクさん:ドイツで庭師をしていました。日本庭園ではなく、ドイツの造園です。

日本語で流暢にお話されますが、和歌山に来たのが、初めての来日ですか?

ドミニクさん:いえ、京都で修行していたことがあります。日本語を勉強したことはないんですよ。京都で仕事をしながら言葉を覚えたんです。

そうなんですね、京都にいらっしゃったのはなぜでしょうか。

ドミニクさん:40年間京都に住んでいたドイツ人の大学教授の方が、京都の老舗の日本庭園の会社を紹介してくれたんです。いきなり何も知らないまま入っていったのですが、そこでの実習で興味が沸いたところから、今まで造園をやっています。

興味が沸いたのはなぜでしょうか?

ドミニクさん:その時、日本の造園を見て驚いたんです。仕事に対する情熱を感じたんですね。人の感動を求める仕事ぶりに感動しました。ドイツでは、そんな経験がなかったので。

そこが、ドイツと日本の造園の違いなんでしょうか。

ドミニクさん:ドイツでは、造園の設計士が設計だけをやって、庭師がその設計どおりにやる。隅まで全部決まっていて、庭師の感性をいれることはできないんです。日本で修行をした時は先生がいて、指導はするんですが、一人一人の感性を求める。そういうところが大きな違いだと思いました。

「高野山・別格本山・西禅院」の
庭園を手掛けるドミニクさん

ちなみに、庭師を始めたきっかけはなんでしょうか。

ドミニクさん:父が植物を育てたり園芸をやっていたので、小さなころから植物が周りにあって、植物と一緒に育ってきた環境でした。きっかけというと、ドイツの学校は日本と少し違うのですが、まあ高校みたいなところで、たまたま造園会社に1週間だけの実習があって。何しようかなと思っていた時に、その経験が楽しかったという思いからです。

自然、文化、便利さ、
和歌山はなんでもある

それでは、和歌山に来たきっかけはなんでしょうか。

ドミニクさん:造園の修行が終わって、独立しようと決めたときに、ゼロから始めることになりますよね。和歌山は妻の実家でもあるし、少なくとも土地はあるし、ここからちょっとずつスタートしていこうと思ったからです。

そうして住んでみた和歌山の魅力ってなんでしょうか?

ドミニクさん:自然かなと思いますね。どこに行っても色んな自然があるじゃないですか。海も綺麗な海だけじゃなくて、ごつごつした岩があるような海も。山も川もあるし。自然が近くにあるところが良いですね。海に行っても、山が近くにありますよね。子供たちもどこに行っても、遊べますし…綺麗です!美しい自然からは庭造りのインスピレーションを貰います。
それだけじゃないですね。文化もそうです、熊野古道もあって。この家の前の道もそうなんですよ。高野山もあって、世界中から注目されていますよね。文化がすごいところでもありますね。
あと、なんでもありますよね。特にこの辺りは、便利です。高速道路も通っているし、空港だってありますしね。どこにでもすぐ行ける。
都会も便利さはありますけどね、一番大事なきれいな空気、水、自然がないんですよ。

和歌山県上富田町の風景

はっきりものを言わないところは、
日本庭園の表現に繋がる

日本や和歌山にきて驚いたことはありますか。

ドミニクさん:本音を言わないところですかね。当時はみんな本心で話していると思っていましたよ。全然気づかなかったから。みんなすごい素敵な言葉を言ってくれるんですよ(笑)後で気づいたら、「ちょっと気を付けないといけなかったな」というのがありましたよ(笑)初めての日本が京都だったので(笑)

日本文化でおもしろいものはありますか?

ドミニクさん:さっきの答えとつながるんですが、本音を言わないといいますか、はっきりものを言わないところは、日本庭園の表現にも繋がってるんですよ。奥深さに繋がっています。
ストレートに言わないで、綺麗な言葉を使うじゃないですか?庭もそうなんです。全部そのまま見せるんじゃなくて、見せ隠れさせるというイメージです。奥が深いというか。
そこで気づいたのが、ドイツ人はストレートで、日本人はクッションを置く感じです。
例えば、庭園に入ると、滝の音が聞こえる。だけど、すぐに滝は見えない。ちらっと音によって存在は感じさせるんです。だけど、すぐに見せない、興味を抱かせる、行きたくなる。こういう技が日本庭園のおもしろさです。僕にはそれが人間のやり取りと繋がっているように感じるんですよ。

庭師さんらしい考え方ですね。そんな日本で庭師として働く楽しさはなんでしょうか。

ドミニクさん:仕事だけするのではなく、普通の人が考えないことを考えて、実行して、それを見た人が感動してくれるところですかね。これは楽しいですよね。楽しくて仕事をしていますよ。

ドミニクさんが手掛けている庭園
「上富田町・興禅寺だるま寺」

造園の依頼があると思うのですが、お休みはあるのですか?

ドミニクさん:土日はできるだけ家にいて休みにしています。自分も子供の頃そうでしたから。両親が家にいて、家族の時間を作ってくれていました。僕も家族の時間を作りたい。お客さんには申し訳ないんですけど、受け入れてもらっています。

そんなお休みはご家族との時間を大切にされているんですね。

ドミニクさん:そうですね。

どこでもウェルカムで、
皆さんあたたかい

活動を見ていると、近所の学校の校庭やご近所さんからも依頼があるみたいですね。

ドミニクさん:そうですね。小学校の憩いの場ともいえる場所の木々が大きくなり茂っていたので、子供達は自由に出入り出来なかったようでしたが、数十年ぶりの思い切った剪定をさせていただき、今では子供達が木陰で本を読んだり木々の間をぬって追いかけっこが出来る姿を見られるのは嬉しい限りですね。

地域の方々に溶け込んでいるんですね。

ドミニクさん:皆さんにはいつも気にかけていただいているんです。この前は、いつもPTAの奉仕作業の時にお会いしていた保護者の方が、たまたま僕の現場の前を通ったみたいなんです。それで、わざわざジュースを買って差し入れしてくれたんですよ。いやー驚きました。
どこでもウェルカムで、皆さんあたたかい感じがします。

日本庭園や和歌山の庭の良さを
世界に伝えたい

ドミニクさんの大切にしているものはなんでしょうか。

ドミニクさん:色んなこと大切にしているけど…それはまあ家族かな。
仕事も大切ですよね。仕事と家族のバランスのとり方ですよね。
でも、仕事は家族のためにしていますから、やはり家族ですかね。

ドミニクさんの今後の夢は何でしょうか。

ドミニクさん:日本庭園とか和歌山の庭の良さを世界に伝えるということはしたいです。
あと、そのためには、人を育てること。僕がやっていることを教える。
そして、それをより良くするためには、ドイツの良さも、日本の良さもどちらも活かして新しい世界を作ることも大切。それを若い人に伝えたいですね。


家族を第一に考えながら、日本庭園を造る庭師として感性を大切にするドミニクさん。日本語が流暢で、手がけた庭園のように言葉選びも美しさがありました。インタビューに応えていただきありがとうございました!最後にドミニクさんのお気に入りの一枚をお願いしたところ、やはり庭師としての感性あふれる作品をくださいました。

ドミニクさんのお気に入りの一枚

ドミニクさんが手掛けている
高野山別格本山・西室院
  • 安藤 マリアンヌ From フランス To 田辺市

  • リー 先捷シェンジェ From シンガポール To 田辺市龍神村

  • アンディー・ストラックマーセル From アメリカ To 日高川町

  • アダム・バラン From アメリカ To 有田川町

  • ダル・ジョバンニ From イタリア To 田辺市

  • ドミニク・シュミッツ From ドイツ To 上富田町

  • ローランド From ドイツ To 海南市