日野護さん・恭子さん

大阪府→紀美野町

関西国際空港から車で約1時間の紀美野町。比較的アクセスの良い場所でありながら、昔ながらののどかな風景が広がる山深い場所だ。Iターン・Uターン者が多いこの地に、日野さんご夫妻が長年暮らした大阪から移住したのは2015年。翌年には愛犬も迎え、夫婦と犬1匹の田舎暮らしを楽しんでいる。

和歌山との出会い

結婚当初から「俺は将来、田舎暮らしをしたい」と言っていた日野護さん。定年退職をひかえた2014年になっても護さんが田舎暮らしを諦めていない様子を感じた奥様の恭子さんは、子ども達が暮らす大阪での生活をやめ、田舎へ共に移住することを決意した。

そうと決めたら持ち前の前向きさで、パワフルに移住先のリサーチを開始。いろいろなエリアをチェックしていたところ、目に留まったのが「田舎暮らし応援県和歌山」のフレーズだった。「応援してくれるなんてありがたい」と思ったことと、大阪にある和歌山県移住相談窓口の担当者の対応が丁寧だったこともあり、移住先を和歌山に決定。

その後、「NPO法人きみの定住を支援する会」とつながり、町内を案内してもらいながら家を探した。「移住相談窓口のスタッフさんや、紀美野町の支援員、ワンストップパーソン(※)さんなどがよくしてくれて。私たちの希望を聞き取って物件を紹介して
くれたことが感じられ、迎え入れられていると思いました」。少しでも情報を集めようと、出会った人には夫婦で手作りした名刺を配ったりもした。そして2015年の年明けから移住の準備を始め、今住んでいる家の改装が終わったのは5月頃だった。

(※)ワンストップパーソンとは、各市町村の窓口で移住希望者の相談に対応する担当職員のこと。

季節に寄り添う生活

かごいっぱいの栗

四季の移ろいに合わせて暮らし方も変えていく。意外とやることは多いが、充実した毎日を送っている日野さんご夫妻。

小さな頃から家族の里帰りで田舎へ行く機会があり、田舎暮らしの原風景が心にあったという恭子さん。紀美野町の暮らしはとてもしっくり来ているようだ。子育て中から大切にしてきた「地球環境に優しい暮らし」が実践できることにも満足の様子。いくつもある良いところの中から、「まずは」と挙げたのは、紀美野町で暮らす人たちとの出会いについて。明るく気さくな人たちに囲まれ、時間を忘れておしゃべり。

薬草や季節の食材の保管方法など、いろいろなことを教えてもらう日々。アルバイト初日には、職場の方から「コーヒー飲みなぁよ」と気軽に声を掛けてもらった。「そんな小さなことでも、受け入れてもらえていると思えてうれしい」と笑顔で語る。

自身の畑の前で笑顔の護さん

町内の薪割りクラブや老人会にも参加している護さん。「老人会では『あんた若いなぁ』と言われて。実は少し若返った気持ちになっています」。

そのほか、お茶摘みや梅仕事、山椒の収穫など、四季の移ろいと共に変化する生活は田舎暮らしでなければできない体験ばかり。「自然相手の生活なので季節に合わせてやることがたくさんあり、とても毎日の刺激になっています。薪を割って冬支度をしたり、庭に落ちてくる栗の保存方法を考えたり。やることはほどよくあって、それなりに忙しいですね。都会では絶対できないことばかりで、ここに来た意味も感じますね」。

ただ、少し困ったこともあるようだ。田舎暮らしには付きものの、虫やケモノの悩み。特にムカデやマムシが怖く、田舎で売っている強力な殺虫剤が欠かせない。また、現在の家も寒さ対策等のために業者委託とDIYでリフォームしたが、「最初はトイレがなく、台所は土間、窓サッシは木枠だった」ことから寒さ対策等でかなり大規模な工事に。

「家を決めてからリフォームの見積もりに入るので、移住スタート時には修繕費にどれくらいかかるのかわかりません。私でいえば薪ストーブはどうしても入れたいなど、自分たちの望む住環境にしたいのであれば、費用には余裕を持っておいたほうがいいですよ」と移住希望者にアドバイスを送る。

田舎暮らしを楽しむために

愛犬の福ちゃんとお散歩する日野さんご夫婦

家などハード面が整えば、あとはその日その時を思いつきで楽しむ悠々自適な田舎暮らし。昨年からは柴犬の「福ちゃん」を飼い始めた。移住後から続けていたアルバイト勤務も今年4月に終え、
愛犬と夫婦が中心となる暮らしに切り替わった。朝起きたら愛犬に餌をあげ、縁側で昼食を取り、犬の雑誌を読みながらおやつタイムを過ごして、夕方のお散歩。

スケジュールはその日その日で決めながら、恭子さんなりのタスクで時間は埋まっていく。「こういう生活ができて、本当に楽しいですね。来てよかったです」。

「和歌山でこんなにたくさんのフルーツが採れるとは知らなかったです。もっとそれをアピールしたら移住者も増えるのでは」と笑う恭子さん。