藤原翔吾さん

兵庫県→由良町

ことさらに自分の個性を押し出すのではなく、相手の要望をカタチにしていく。独学から地域密着型のデザイナーとなった藤原翔吾さん。謙虚な姿勢を持ち合わせた彼は、2018年7月に由良町へ。ここで居場所をつくりつつあります。

友人とデザイン事務所を開業


大学時代にはじまった藤原さんのデザイン制作。友人の安藤さんとともに、遊びの延長でTシャツブランドを立ち上げたのがきっかけでした。大学卒業後は、兵庫県赤穂市へ引っ越し。発信が得意な安藤さんを通じて、知り合いづての依頼がくるように。

美容室のフライヤーから牡蠣小屋のノボリまで、さまざまな依頼は、2人にとって与えられた課題のよう。どうしたらニーズに合うものをカタチにしていけるか、試行錯誤しながら取り組むこと自体を楽しんでいたようです。「基本的には何でも依頼を受けていましたね。僕の場合、デザインは自分の色を出す“作品”ではなく、お客さんの要望をカタチにしていくもの。通訳のような役割ができたらと思っているんです」と藤原さんは謙虚な姿勢です。

そんな藤原さんの姿勢もあいまって、依頼はだんだんと増えていきます。依頼する側にとっても、自分たちが何者かが分かりやすい方がスムーズだろうという、これまたニーズに応えるカタチで、お互いの名前から「藤」を取ってデザイン事務所「藤デザイン」を立ち上げることに。それが、大学卒業から4年経った2015年のことでした。

由良町とゆらちょうに惹かれて

藤デザインが転機を迎えたのは、2018年でした。相方の安藤さんが東京へ行くことになったのです。これからどうしていこうかと迷う藤原さんに、声がかかります。23歳にして「株式会社ゆらちょう」を起業した井上慶祥さんです。株式会社ゆらちょうは地域での仕事の創出を目指し、イベント企画運営や、特産品の生産販売に取り組む由良町地元密着型企業。

もともと大学の先輩・後輩にあたる2人。卒業後は、仕事を通じた関係が続いていました。井上さんの名刺や株式会社ゆらちょうのホームページ制作。あるいは井上さんの紹介で、白崎海洋公園のポスター、町内に設置される津波注意を喚起するノボリなど。2016年から、年に3~4回は由良町を訪れていたのです。

「営業はまかせてください!」という井上さんの誘いに、「付いていきます(笑)」と藤原さんは二つ返事。井上さんの「やれるっしょ!」という前向きな姿勢に、同じフィーリングを感じたようです。「井上さんは会うたびにいつも新しいことをしていて、本当に面白いんですよ」と藤原さんは笑います。

そうして、由良町での新しい暮らしをはじめたのが、2018年の7月。移住にあたって、由良町の商工会の方に教えてもらい、新規創業者向けの無利子融資が受けられる「特定創業支援事業」を利用しました。パソコンやカメラといった機材準備など開業資金に充てたおかげで、金銭面の苦労も少なかったそうです。仕事を通じた繋がりで、引っ越し業者を紹介してもらえたことも。「本当に人に恵まれている」と藤原さんは言います。

集中できる環境の断捨離

由良町には「ゆらづくり部」という20代・30代有志のコミュニティがあります。メンバーは現在16名。地域冊子「Umineco」刊行など、由良町愛を伝える活動をしているそう。かと思えば、夜な夜な集まってボードゲームで遊ぶことも。移住先で、話の合う仲間に出会えるかどうかは、とても大事なことだと思います。

近所の人から「ちょっとパソコンのこと教えて~」と頼られ、お宅へおじゃまする機会も増えたようです。「デザイナーと肩ひじをはるのではなく、近所のパソコンに詳しい兄ちゃんでいい」と藤原さんはにこやかです。

最近は趣味も兼ね、今後の仕事にも活かせたらとVR(バーチャル・リアリティ)を勉強中。パソコンがあれば、どこにいても情報が手に入る時代。藤原さんは「自然に囲まれのんびりした環境にいる方が、余計な誘惑が少なくてやりたいことに集中できる」と言います。藤原さんの「楽しい」を刺激し、研ぎ澄ましてくれる環境が、由良町には不思議と整っていたよう。人との縁を大切に、流れに身をゆだね、そのとき自分にできることに真摯に取り組む。もちろん、楽しみながら!そんな藤原さんの姿勢があったからこそ、たどり着いた場所のように思います。

・屋号:藤デザイン
・HP:http://fujidesign.hatenablog.com/