森脇碌さん

東京都→田辺市

2017年に東京から田辺市秋津川に移住した、森脇 碌(もりわき ろく)さん。3人の子どもを育てながら、地域×デザインのプラットフォーム「TETAU」の事務局長を務め、自身もデザイナーとしてとして活動します。自然環境の良さをイメージしがちな“移住”ですが、むしろ森脇さんは「地域経済にデザインの将来性を感じて」と話します。

キャリアを諦め、未経験からデザイナーの道へ


東京で建築やコンサル業に就いてキャリアを重ねてきた森脇さん。長男の病気発覚により介助が必要になったこと。そして2人目の妊娠もあり、在宅で行える仕事へシフトします。悩んだ末の一大決心でした。

手に職をつけるべく、未経験ながらデザイナーとしての活動をスタート。クラウドソーシングのサイトに登録すると、1年半の間に500件ものコンペへ応募しました。月収5万という時期も経て、デザイナーとして自立していきました。

「キャリアを途中であきらめたんで。悩んだ末辞めたときに、もう30歳くらいで。また1からキャリアを積むのは無理だな、でも30代のうちにキャリアを築けないと40代で活躍できない。すごく焦ってました。1日でも早くデザイナーといえる自分になるため、って」

東京都杉並区の自宅で、育児と制作に明け暮れる森脇さん。あるとき、区主催のテレワークセミナーへ参加すると、同じような想いを抱えたお母さんたちが大勢いたのです。「この人たちとチームを組んでやってみたい!」とひらめきます。そして、子育て中のお母さんたちがフリーランスとして働けるプラットフォーム「mamimu」を結成しました。

移住の決め手は「仕事」


「ママ×フリーランス」を掲げるmamimuは時代の追い風も受け、次第に大きな依頼も増えていきました。団体としては順風満帆に見えましたが、森脇さん自身は伸びしろの限界値も感じるようになります。

「どんな事業にも“思いのもと”みたいなものがあって、私は、そこに階段をつけていくスタイルでデザインをつくるんです。大きな仕事にも魅力はあるけれど、もっと思いの見える仕事にこそ、未来があるような気がして」

そんな中、「TETAU」からの依頼がかかります。田辺市へ何度も足を運ぶ中で、ある気持ちが芽生えていきます。

「ここだったら自分のやりたいことができるなと。思いが“もろ見えてる仕事”しかないんですよ。経営者さんとすごい近いですし、担当者が事業を立ち上げていたりする。思いが直接聞こえるんです」

住んで気づいた環境の良さ

初めて田辺市を訪れてからわずか半年。森脇さんは家族での移住を決意します。そして2017年の夏、ご縁があった田辺市の秋津川へと生活の拠点を移しました。その後、第3子が産まれます。

「引っ越してきてよかったと、毎日のように感じてます。東京のど真ん中での暮らしは、夫婦2人の時は楽しかったんですけど、2人目が産まれた時に『あれ、狭いぞ』って。こっちに来たらまず庭が広いので、草を採ったり虫を捕まえたり、放っておいても勝手に何かしら学んでる。チョウチョが花にとまって蜜を吸ってることが、もう衝撃らしくて」

テレワーカーを育て、地域の可能性を広げる


自身がデザイナーとして活躍する一方、森脇さんは地域人材の育成にも力を入れています。2018年度より「紀南のテレワーク」事業の運営をスタートし、約20名のメンバーがスキルアップに励んでいます。

「パソコンに不慣れだった人が、当たり前のようにビデオチャットで会議して、Google Driveを使い、情報を共有しています。そのスキルで何したいか。『自分たちが暮らす地域の仕事がやりたい』という声が多くあがったんです」

「気持ちは、移住者である私とやっぱり同じなんだな、って。TETAUが発行する冊子「紀南Good Vol.4」も、メンバーたちとつくりました。『私これ得意だから』『僕はこっち』『じゃあ私は…』と役割分担をして。もともと仕事って、一人一人の得意を持ち寄るものだったんじゃないかな。わたしはきっかけをつくり、地域の人も移住者もみんなで考えていける。そんなふうに進めていきたいです」

・屋号:TETAU有限責任事業組合               
・所在地:田辺市栄町23-1 秋ぜんビル3-A
・HP:https://www.tetau.jp
・Facebook:https://www.facebook.com/kinan.tetau/