石渡 祥子(いしわた さちこ)さん

東京都→和歌山市

兵庫県西宮市出身。大学卒業後、愛知県名古屋市、東京都で生活する中、地方での暮らしに憧れて、2018年6月に夫婦で和歌山市に移住。紀の川市貴志川町にある大池遊園近くに2019年4月設立された「おいけファーム」運営メンバー。

都会を卒業し、地方での暮らしを検討

石渡さんは大阪の国立大学卒業後、文部科学省職員として名古屋にある大学で勤務。その頃、出会った夫・康太さんとの結婚を機に東京へ。私立大学の職員として働いていました。名古屋で6年、東京で10年暮らす中、ふと感じたのは「このままでいいのか?」という思いでした。

「私も主人も都会での生活は十分やりきりました。だから今度は、自分たちの手で何かを生み出したいという思いが湧き始めました。そんな生活は地方でしか叶わない」と考え、移住についてリサーチを始めました。

しかし移住への条件が1つだけありました。それは国際空港に近い地域への移住。20歳代の頃から海外ボランティアとして渡航を続けている石渡さんにとって、海外へのアクセスが容易な地域が望みでした。そこで関西国際空港が近くて、まだ暮らしたことのない大阪府と和歌山県が移住先として上がりました。

人の温かさに触れて和歌山市へ

この頃はまだ移住への取り組みは本腰ではなかった石渡さん夫妻。しかし康太さんの勤務先が大阪オフィスを設立するという話があり、関西への移住が現実味を帯びてきました。そこで全く知らなかった和歌山への旅行を計画。2017年冬に紀の川市で農家民泊を経験しました。

「民泊で出会った人たちがとにかく親切! 地元の環境を教えてくれたり、移住への協力を申し出てくれたり、皆さんが気にかけてくださった。これなら和歌山で暮らせるかなと安心しました」。

こうして和歌山への移住を決めた石渡さん夫妻。和歌山に関する情報収集を重ね2018年2月に再来訪し、不動産会社で住まいを決定。同年6月に和歌山市に移住しました。移住後は、前職の経験を生かせる和歌山市内の大学へ就職。ペーパードライバーだった車の運転にも慣れて、和歌山市での暮らしやすさを実感しています。

「おいけファーム」設立のメンバーに

石渡さんは休日になると地元のイベントやワークショップなどに積極的に参加し、友だちも増えていきました。そんな中、1つの転機を迎えます。紀の川市にある観光交流拠点施設で知り合った人たちと一緒に、地域の活性化を目的とした『おいけファーム』を2019年4月に設立しました。石渡さんは設立メンバーの1人として運営に携わっています。

同ファームの目的は、地元の耕作放棄地を再生させて農業振興、地域振興につなげること。その拠点は紀の川市の大池遊園にある直売所『おいけのまど』。週末にはファームで育てた野菜をはじめ、周辺農家が育てた旬の果物・野菜や加工品、工芸品を販売。また農業体験、ワークショップ、交流イベントなどを開催しています。

新鮮な野菜や果物、花が勢ぞろい!

「自然と人の営みが混じり合う原風景が残るこの地が、昔と今をつなぎ、世代を超えた交流の場となるのがファームの願い。地域と人を結ぶ場所として、これからもみんなで活動を継続していきたいです」と石渡さんは微笑みます。

地域の人たちが参加した収穫体験の様子

移住者がみんなスーパーマンではない!

石渡さんは移住する前、田舎暮らしはハードルが高いと感じていました。その理由は、移住者が田舎でカフェなどお店を経営しているという記事を読むことが多く、普通の会社員だった自分たちには田舎暮らしは難しいと思い込んでいました。

「皆さんカフェやお店を経営されていて、スーパーマンみたいな印象。自分たちには無理だと思っていました。でも実際に移住してみると、私たちでも田舎でできることはあるとわかった。移住前に取り組んできたことを田舎暮らしで生かせることはきっとあるから、移住を検討している方々には、自信を持って田舎暮らしへの第一歩を踏み出してほしい。何より田舎ではのんびりできます」と石渡さんは語ります。

「都市部の人が、和歌山へ来て今までの仕事が生かせる企業に就職し、土日は農業をしたり地域の活動をしたり自然に触れたり、多様な生活スタイルを選択するのもいいかなと思います」。

都会から和歌山へ人を呼びたい!

おいけファームでの活動が2年目を迎え、ますます忙しくなりそうな石渡さん。移住して和歌山が大好きになったので、都会から人を呼び、和歌山に関わりを持ってもらえる活動に取り組むことが今後の目標だと言います。

「地域にお世話になっているので、自分なりに恩返しをしたい。人口が減少している地域に関わる人が増加すると、地域が元気になる。そういう活動をしていきたいです」。

 

おいけファーム/おいけのまど
和歌山県紀の川市貴志川町長山1282-3
土・日曜の午前10時~午後3時営業
URL: https://agricultural
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