槇野 吉晃(まきの よしあき)さん

大阪府→橋本市

―2020年3月、家族3人で大阪府豊中市から橋本市へIターン移住。現在、認定NPO法人の関西事務所職員として働きつつ、「人と人とがつながる場」を作りたいとの想いから、「はしのまち映画会」を結成し、橋本市を中心に様々な場所で定期的に映画の上映会を開催しているという槇野さん。橋本市への移住の経緯や映画会への想いを伺った。―

教育、通勤を重視した橋本市への移住

教育に関心の高かった槇野さん夫婦は、子どもの橋本市内の私立学校への入学を視野に入れつつ、吉晃さんの大阪の職場まで約1時間と通勤圏内だったことから橋本市への移住を考え始めた。
橋本市役所やインターネット等で情報収集をしていた中、実際に足を運んで地域の雰囲気を肌で感じたいと思い、2019年12月に家族3人で橋本市を訪問。滞在中に現地の不動産会社が案内してくれた物件を家族全員が気に入り、移住を決めたという。

橋本市への移住について語る槇野さん(映画の上映会場にて)

橋本市での暮らしぶり

「日常の景色に緑が多く、目に優しい。田んぼもあれば、泳げるほど澄んだ川もあり、自然を身近に感じる。子どもも『山に包まれているね』と言っていた。また、遊具がたくさんある公園や、夏場に行列なく入れるプールなども子育て世帯にはありがたい」という吉晃さん。
買い物面では、「スーパーは、車で10分ほどの距離に複数ある。和歌山県産の食材が豊富で、旬の野菜、魚が並んでいる。四季を感じられるものが食卓に上ることが嬉しい。移住するまであまり関心がなかったが、季節になるとたくさんいただける地域名産の柿が驚くほど美味しい。また、美味しいパン屋さんも多く驚いた」と夫婦で橋本での生活を幸せそうに話してくれた。
一方で、大変だと感じたことは、移住前に比べ水道代が高くなったことが挙げられるそうだ。他にも「移住前に比べて、ごみの収集回数が少なくなって最初は驚いたが、市の助成制度を利用して生ごみ処理機も購入し、ごみを出さない生活スタイルを意識することができています」とのこと。
肝心の子どもも「学校はとても楽しい」と元気に通学している。移住後に知ったが、橋本市には、子どもの通う私立学校以外にも、自然と触れ合う機会の多い学童保育や、対話を重視するフリースクールもある。また、隣接する九度山町には、全国でも珍しい不登校の児童生徒にとって適合しやすい公立の極小規模学校などがあり、教育の選択肢が多様だと感じるという。

インタビュー場所を提供してくれた「STONES BAKERY」も槇野さんの好きなパン屋さん。

「はしのまち映画会」のはじまり

槇野さん夫婦は移住当初、地域の人と繋がりたいと思いながらも、コロナ禍ということもあり、なかなかきっかけが見つけられなかった。
そんな中、市報で「はしもとの未来を考えるワークショップ」を見つけ、家族で参加した。他の参加者から、昔の橋本市内の様子や地域に映画館がたくさんあった時代の話を聞く中で、「映画の上映会ができないか」と考えたという槇野さん夫婦。吉晃さんは「本業で地域づくりにかかわる仕事をしていることもあり、自分自身が地域とつながらなくていいのか」と感じていたこともあったという。ワークショップの参加者の中に、自分たちの想いに賛同してくれる人もいたことから、2022年9月「はしのまち映画会」を家族3人で設立した。

インタビュー場所にも使った「STONES BAKERY」さん所有の蔵は、映画イベントの会場のひとつ。

人とつながる、「映画会」

そして2022年10月、地域の農家さんの母屋を借りて、初めての上映会を開催した。吉晃さんは本業の経験を活かし当日の進行を、編集者の経験があった妻はSNS等での広報・事務を、子どもは得意の算数を活かして物販をと、家族で役割分担して映画会を開催した。
その後もアートギャラリー、フリースクール、パン屋さんの蔵などを借りて、1~2か月に1回の頻度で開催。上映会では、大型のシネコンでは上映されなさそうなテーマ性の高い映画を上映している。そのほうが「興味関心が近い人同士がつながりやすい」からだという。「上映会の作品選びは、場所を貸してくれる方と、どんな映画が見たいか話し合って決めます。“重たい映画”、“ほんわかした映画”、“自然を扱った映画”など、会場によって様々です」とのこと。
「はじめてパン屋のSTONES BAKERYさんで開催した時は、原料の小麦にちなんで植物の種を題材にした映画を選びました。STONES BAKERYさんのお客さんのおかげであっという間にチケットが売り切れ、キャンセル待ちがでるほど盛況でした」と教えてくれた。上映終了後には、希望者が残って自己紹介や映画の感想をシェアする30分ほどの交流の時間も設けている。自由なスタイルで参加することができることも特徴の一つで、「映画だけ楽しんで帰ってもいいし、自己紹介だけ、“聞くだけ参加”でも大丈夫です。気軽に参加してもらえれば」と吉晃さんは言う。

実際の上映会場の様子

地域へ広がる、たくさんの小さなつながり

映画会の参加者が、会場となったギャラリーで自分の個展を主催したり、フリースクールでボランティアを始めたりすることもある。「人と人との出会い、つながりのきっかけになって、いつもとちょっと違うお話ができる、自宅でもなく、職場でもない第3の場所になれたら」と吉晃さん。
ごみ問題をテーマにした映画のときは、地域のリユース促進団体が「0円マーケット」を会場で開催することもある。また大人の交流を創出するだけでなく、「子どもたちが知らなかった世界を知り、行動するきっかけになれば」という想いから、夏休みには子ども向けのイベントも開催。子ども食堂を行う地域のフリースクールで、環境団体とコラボし「プラスチックゴミ(環境問題)の映画の上映会+ごみを減らすためのワークショップ」を開催した。このイベントを機に、夏休みの自由研究をした子どもや、紀の川の清掃活動に取り組んだ子どももいるそうだ。想いの重なる他団体とも映画を通じて、つながりを広げていきたいと教えてくれた。
参加者には移住者も多いそうで、吉晃さんは「今年、移住してきたばかりの人に『この映画会は、とてもよい出会いの場ですね。たくさんの素敵な人と繋がれた』と言われて嬉しかった。このイベントは、移住された方の話や地元の情報、生の声に触れることができるので、移住する前に気軽に立ち寄れる場所として、移住を検討中の方にも、ぜひ、参加してほしい」と言う。
「上映会に、いろんな人が集まって、つながって、コミュニティが生まれる。そんな楽しみを提供できる大事な場所が、地域にたくさん増えて、まち全体で楽しめるようになっていければ良いですね。上映会を開催することで、地域で新しいつながり、楽しい仲間が増えていくのが嬉しいし、自分たちも楽しい。新しい人が地域に入りやすい環境づくりをしていければ」と抱負を語る吉晃さん。
2024年2月には、STONES BAKERYさんの主催で能登半島地震のチャリティイベントが行われ、地域の人たちが出店し、多くの人が来場した。はしのまち映画会では、地震にまつわるミニ上映会を開催。地域の防災士や福祉職、教育関係者なども参加したという。「被災者に心を寄せつつ、地域の防災力も高められれば」と話す。

プラスチックゴミ(環境問題)の映画の上映後、環境保護団体「おそうじパーティ」さんが、ごみを減らすためのワークショップを開催!

―「はしのまち映画会」を通じて、子どもから大人まで、またたくさんの地域や人とのつながりを作っている槇野さん夫婦。インタビュー中、ずっと明るく、楽しそうに話される姿が印象的だった。移住に興味のある方は、映画見にだけ行くもよし、おしゃべりに行くもよし、ただ聞きに行くもよし、それぞれ自由な形で「はしのまち映画会」に気軽に参加し、地域とのきっかけづくりを始めてみてはいかがでしょうか。―
取材日:2024年2月5日
<近日開催の上映会>
映画 「ぼくたちの哲学教室」   ※田辺市「キノクマ座」とのコラボで開催

日程 場所 共催 後援
2024/3/2(土)、3(日) 九度山町『OLD STREAM』 はしのまち映画会キノクマ座 橋本市教育委員会・九度山町・教育委員会

料金:いずれも大人予約者料金:1400円(当日会場で現金にて事前予約者料金で参加可)
大人当日料金:1600円、18歳以下無料。

映画「TERRA ぼくらと地球のくらし方」

日程 場所
2024/3/20(水) 橋本市『earthman』

料金:ドネーション制、要予約

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