油谷 亜希(ゆたに あき)さん

岐阜県→広川町

和歌山県有田市出身。大学1回生の時にアメリカへ留学し、学位を取得。その後、青年海外協力隊に参加し、タンザニアへ。帰国後、和歌山県と岐阜県で暮らした後に2015年11月、広川町へJターン。四季折々の自然を感じながら、田舎暮らしを楽しんでいる。

自然が好きで田舎暮らしを希望

「子供の頃、祖母の家に草引きに行っていました。そういうものが染み付いているのかな。山を見るのが好きで、自然に興味がありました」と話す油谷さん。

高校は環境科学を専攻。アメリカ留学では森林学を学びました。アメリカで学位を修めた後は、青年海外協力隊に参加し、ボランティアとしてタンザニアへ。

帰国後、和歌山に戻って会社員として3年間勤めた後に、岐阜県立森林文化アカデミーに入学。それが縁で、岐阜県に8年間住んでいました。ご主人と結婚したのはその頃。娘さんが1歳になったのを機に、ご主人が大阪府出身ということもあり、関西への移住を考え始めました。

「都会での生活より田舎で暮らしたいという私の希望もあり、故郷である和歌山県で移住先を探しました。その時は、まさかJターンするとは思っていなかったです(笑)」。

紀北を中心に移住先を検討する中で、和歌山県有田振興局へ相談。地域案内人の方やご近所の方々のご縁で、広川町上津木に空き家が見つかり、2015年11月から住み始めました。

四季を意識して、毎日をのんびり過ごす

油谷さんの日常は農作業が中心。自宅の庭での作業や、ご近所のおばあちゃんが所有する畑を手伝っています。移住当初から農作業は未経験。「台風と虫と猿との戦いです(笑)」と話すように、失敗しながら取り組んでいます。梅干を漬けたり、お味噌を作ったり、寒くなれば焚き火をしたり…四季の移り変わりを意識して、家族3人、田舎での暮らしを満喫しています。

「今、ご近所で私を気にかけてくれている80歳後半のおばあちゃんから、なれ寿司や布草履、竹ぼうきの作り方などを教わっています。おばあちゃんから受け継いだ伝統を、次の世代に引き継ぎたいです」。

作物の状態を常にチェック

英会話を通じて子どもたちに伝えたいこと

油谷さんは月に2回、地域の子供に英会話を教えています。文字を使わず、会話のやり取りだけで教える実践的な指導法です。

「例えばこの前、英会話の時間に畑へ収穫に出かけたのですが、私は野菜の特徴など最低限の情報を子供たちに英語で伝えるだけ。子供たちが畑から帰って来たら、収穫までの体験を英語で話してもらいます。間違っても良いから、自分の意見を英語で相手に伝えることの大切さを教えています」。

全ては、日本の文化や伝統について自分の体験に基づいた言葉で話せる大人になって欲しいという願いから。「ここでの英会話体験を、大人になって思い出してくれたら嬉しいですね」。田舎での暮らしを大切にする油谷さんならではの指導法です。

田舎での暮らしを娘の花子ちゃんと一緒に楽しむ

静かなことが、とても豊かに感じる日々

家族3人で広川町に移住して4年。油谷さんが感じる地域の良さとは?

「この地域の良いところは、静かなところ。それはとても豊かなことだと思っています。あと、年齢に関係なくご近所さんが娘を気にかけてくれて、よく遊んでくれます。おばあちゃんと話して地域に伝わる昔の言葉を聞いたり、昔ながらのお菓子をいただいたり。娘が大人になったら忘れちゃうかもしれないけど、そういう経験は子どもにとっても大切だと思うんです」。

のんびりとした空気が流れる地域の様子

移住者へのアドバイスは?

「和歌山に限らずどんな地域に移住しても…」と前置きの上、「好奇心旺盛であること、挨拶を欠かさないことが大事だと思います」と油谷さん。「地域の人たちに対して、身構えずに受け入れて、皆さんから学ばせてもらえると思えば、関係は円滑になると思います」とアドバイスをいただきました。

地域の暮らしを若い世代に伝えたい

広川町に移住して4年。地域に根差して日々の暮らしを大切にする油谷さんのこれからの目標は?

「取り立てて、ないんですよ(笑)。ここに移住してきた時に『ここが終わりの場所なんやな』と感じました。今の暮らしを続けていきたい。近所のおばあちゃんの助けを借りて取り組んでいる畑仕事や四季折々の暮らしを自分のものにして、若い世代に伝えていきたいです」。

焼き芋、栗、街では珍しいハブ茶など自然ならではの味覚が勢ぞろい!