礒田行智さん・好子さん

大阪府→古座川町

1996年に大阪府から古座川町に移住した礒田行智さん、好子さんご夫妻。県の名勝・天然記念物「滝の拝」の近くの山間で、それぞれの趣味を活かして暮らしを楽しみ、地域のみなさんからも親しまれています。

自然が好きで移住

移住前、行智さんはオリジナルオーディオケーブルの製造・販売、好子さんは小学校教諭をしていました。好子さんの定年退職が近付くと、自分たちのやりたいことをしようと移住を考え始めたお二人。星を見るのが好きということもあり、長期休暇になると訪れていた古座川町で、5~6年間交流を続けた後、地域の方の助言もあり移住を決めたそうです。

園芸が好きだったこともあり、移住後は農業を楽しみたいと考えていた行智さんと好子さん。初めの頃、行智さんは家の前の畑を借りて春菊やサツマイモを育てたものの、サルやシカなどの獣害や虫害がひどく、同じ野菜を同じ場所でつくり続けることで発生する生育障害も起こり、思うようにいかなかったそうですが、現在は、試行錯誤を続けながらビニールハウスで野菜づくりを楽しまれています。

コーヒー焙煎が趣味から仕事へ

40代の頃から趣味でコーヒー焙煎を始めた行智さん。移住後も焙煎を続け、家を訪ねてきたお客さんに振舞っていたことから評判になり、町内の道の駅や温泉旅館から「ぜひ取り扱いたい」と注文が入るようになりました。現在は、「イソダさんのコーヒー」として4種類の煎り具合のものが各施設で提供されるほどの人気です。

(純古座川産なんだよと満面の笑みで自身の「イソダケーブル」を持つ行智さん)

染め物の先生

30歳の頃から染色を習っていた好子さんも、最初は趣味として田舎で草木染めをしたかったそうですが、移住後のあいさつ回りに持参した、相手の名前を入れたローケツ染めの手ぬぐいが評判になり、「教えてほしい」という声に応えるため、教室を開くことになりました。今では町の公民館や自宅の離れにある「滝の拝染工房」で教室を開いているほか、体験の受け入れもしています。

(「ろうけつ染め」のろうを塗る作業をする好子さん)

好子さんは、作品作りにも取り組み、和歌山県美術展覧会(県展)へ毎年出品し、年1回の個展、2年に1回のグループ展を開催しています。2018年の県展では佳作に選ばれたそうです。好子さんの作品には草花や川など大好きな古座川町の自然が必ず題材として扱われています。

飽きることのない景色

礒田さん夫妻は「滝の拝」近くに土地を購入し家を建てました。虫対策のため二重扉にし、梅雨時でも洗濯物が干せるようにサンルームも設けました。夜になると星空を楽しめる部屋もあるそうです。行智さんは「向かいの山が一面に見える大きな窓ガラスの側で毎日朝食をとっています。同じ景色でも日によって違って見えるので飽きることがないですね。」とほほ笑みます。

「霧が晴れてくるとき、日が当たり始めて草の露が光り始めるとき、ウグイスが鳴き始めるときなどいろいろあって、自然が一番の魅力です。新鮮な野菜もあって、近所に歩いて出掛けると、帰るころには両手がもらいものでいっぱいになる時があります。都会では他人行儀になるようなところでも、こちらでは昔からの知り合いのように接してくれるんですよ」と好子さんも笑顔で話してくださいました。

【編集後記】
行智さんはコーヒー焙煎、好子さんは染色工房と地域に溶け込んだ活動をしていることから、町内でもよく知られるお二人。「こんなことがあった」「あんなこともあったね」と明るく話してくださいました。移住後、地域にすっかり馴染み、自分らしく暮らしていらっしゃる礒田さんご夫妻。皆さんにご紹介できてうれしいです。

滝の拝染工房
・所在地:〒649-4216 和歌山県東牟婁郡古座川町小川
・TEL/FAX:0735-79-0194